消防訓練の種類と内容は?必要性から訓練のやり方まで解説
火災はいつどこで発生するか分かりません。誰にでも起こる災害です。もし火災にあってしまった時、その被害を最小限にするためには消防訓練が欠かせません。この記事では、消防訓練の種類と内容、その重要性と訓練の実施方法まで詳しく解説します。安全な暮らしのために欠かせない消防訓練の重要性を理解し、防災意識を高めましょう。
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消防訓練は2種類ある
消防訓練には「総合訓練」と「部分訓練」の2種類があります。消防法により、劇場や飲食店など不特定多数の人が出入りする防火対象物は、年に2回以上の訓練を義務付けられています。それ以外の建物は年に1回以上の実施です。防火対象物の管理者は、防火管理者を定め、消防計画を作成しなければなりません。
総合訓練の内容
総合訓練では、消火訓練・避難訓練・通報訓練の全てを行います。実際に火災が発生したという想定で、火災報知設備の作動から初期消火までの一連の流れを行う訓練です。総合訓練をすることで、より実際の災害に備えた訓練を行えます。
部分訓練の内容
部分訓練は、総合訓練の内容を分けて行います。その内容は、「消火訓練」「避難訓練」「通報訓練」の3種類です。
消火訓練
消火訓練では、火災を最小限に抑えられるよう、消火器や屋内消火栓の取り扱い訓練を行います。消火器の取り扱い方は次のとおりです。
- 安全ピンを抜く
- ホースを火元に向ける
- レバーを強く握り、消火薬剤を放射する
- 訓練では20秒程度消火体制を維持する
屋内消火栓の取り扱い方は次のとおりです。1号消火栓は2人、2号消火栓は1人で作業を行います。使用する消火栓はどちらなのかを確認しておきましょう。ここでは1号消火栓の場合を紹介します。
- ボタンを押して開ける
- ホースにねじれがないように確認しながらのばす
- 放水準備ができたらバルブを開ける
- 発信機のボタンを押し、消火栓ポンプを起動させる
避難訓練
避難訓練は、火災が起きた際に安全に避難できるよう、避難経路の確認や避難誘導の方法を確認するための訓練です。まずは、実際に避難する際に使用する消防設備を確認しましょう。避難用の消防設備には、誘導灯や避難器具などがあります。避難器具の前や避難経路に障害物がないかの確認も必要です。
誘導する時には、放送設備や拡声器などを活用すると、より広い範囲の人々に伝えることができます。建物の規模や構造、用途などによって避難誘導の仕方は変わるので、実施する施設に応じた訓練をしましょう。いずれにしても、避難させる人々を落ち着かせながら、安全な避難経路を選んで誘導することが大切です。
通報訓練
実際に火災が発生した時には、いち早く消防機関へ通報を行う必要があります。訓練では、消防計画で通報担当に割り当てられている人が模擬通報を行います。通報者と消防機関の役割分担するなど、実際に通報することを想定した訓練をしましょう。消防へ通報したら、次は建物の中の人に火災発生を知らせます。放送設備や拡声器などを活用して早く伝達すること、落ち着いて正しい情報を伝えることが大事です。
消防訓練の実施方法
消防訓練はすぐに実施できるわけではありません。事前の準備等も必要です。消防訓練の実施方法について順を追って詳しく解説します。
訓練計画の作成
まずは、訓練計画の作成が必要です。計画を作成するのは防火管理者だけでなく、できるだけ訓練に参加する人も含めて、大勢で話し合いながら作成しましょう。訓練計画について話し合うことで、訓練がスムーズに行えるだけでなく、防災意識の向上にもつながります。計画することは次のようなことです。
- 訓練日の調整・決定
- 出火箇所の設定
- 出火時間の設定
- 役割分担の決定
- 避難場所の設定
訓練に必要な物の準備・確認もしておきましょう。
訓練日の告知
訓練計画が決まったら、訓練日を告知します。従業員や入居者など訓練に参加する人はもちろん、非常ベルなどを鳴らす場合は近隣の人にも知らせましょう。
消防機関への事前通知
消防訓練を行う際には、所轄の消防署への届け出を忘れてはなりません。「消防訓練実施届出書」を提出する必要があります。
消防訓練は必ず行いましょう
消防訓練は法で義務付けられた重要な訓練です。消防訓練を通じて従業員や入居者の安全意識を高めることで、災害時に迅速な避難が可能になります。万が一の時に命を守り、被害を最小限に抑えるためにも、定期的な消防訓練を行いましょう。
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