消防設備のリニューアル(改修)はなぜ必要?目安となる時期まで解説
消防設備のリニューアル(改修)は、建物の安全性を維持するために不可欠です。消防設備は経年劣化により、機能や性能が低下する場合があります。リニューアルは、この問題を解決し、適切な消火・避難機能を維持するために必要です。
この記事では、なぜ消防設備のリニューアルが必要なのか、具体的な改修対象やその目安となる時期について詳しく解説します。
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消防設備のリニューアルが必要な理由
消防設備は火災が発生した際、人命や財産を守るために必ず正しく作動しなくてはいけません。しかし、消防設備は経年劣化の影響で性能や機能が低下する可能性があります。
消火設備や警報装置などは長期間の使用によって劣化し、適切な機能を果たせなくなることがあります。これらの理由から、安心安全に消防設備を使用していくうえで、リニューアルは欠かせません。
消防設備リニューアルの時期の目安
消防設備によってリニューアルの時期は異なります。それぞれの設備のリニューアルの目安を解説するので、計画的にリニューアルを行っていきましょう。
消火設備
加圧式・蓄圧式消火器
一般的な業務用消火器は、平成23年頃から加圧式から蓄圧式へ変わってきています。現在多く使われている蓄圧式消火器の使用期限はおおむね10年間とされています。平成23年までの消火器はおおむね8年間でした。
消火器には製造年、製造番号とともに設計標準使用期限が示されています。この期限を目安に取り替えを検討しましょう。
移動粉末消火設備
設備がコンパクトで、消火を行う際に非常に使い勝手がいいということもあり、多くの建物で設置されています。しかし劣化が進むと、万が一の時に消火活動がうまくできないため、定期的な更新工事は必須です。
耐用年数は、およそ16~18年と規定されています。しかし、消火薬剤の固着・放出するための加圧ガス容器の点検基準により、更新は10年を目安に設定されているのが一般的です。
加圧用ガス容器
加圧用ガス容器は、消火薬剤を放出するための圧縮気体の入ったボンベです。取り替えの目安は18~20年です。また、設置から30年経過するまでに性能試験を実施する必要があります。
不活性ガス・ハロゲン化物貯蔵容器・容器弁
ガス系消火設備の貯蔵等に用いられる高圧ガス貯蔵容器には、消火剤を放出させる容器弁が設けられています。容器弁や安全装置を構成する封板、パッキン等の部品は、長期間の使用から腐食や劣化により品質が低下し、高圧ガスの噴出事故を発生させる恐れも。
このため、18~20年での取り替えが推奨されています。また、二酸化炭素では設置後25年、ハロゲン化物等では設置後30年までに点検が必要です。
ポンプ
消火ポンプの取り替えの時期は、15~20年とされています。もともと外気に触れる機会が少なく、丈夫な機材のため、不具合は出にくいです。しかし、消火活動の際には重要な設備なので、定期点検が必要です。
自動火災報知機設備
火災受信機・非常警報設備
火災受信機は火災信号を受け取り、非常ベルを鳴らすための重要なものです。取り替えの目安は15~20年とされています。
火災感知器
煙感知器で10年、熱感知器で15年が取り替えの目安です。火災感知器は室内にあることが多いので、故障は多くありません。しかし、その機能と性能の信頼性を維持するために、設置から一定期間を経過した設備は更新する必要があります。
火災発信機
火災発信機は手動で起動させる火災報知器です。発信機の取り替えの目安は20年となっていますが、消防設備点検の時にはボタンを押して実際に起動させるチェックをしましょう。未点検では、ボタンが固くなって押し込めなくなる場合もあります。
火災ベル
火災ベルの取り替えの目安は20年です。万が一の時に警報音が鳴らないことがないよう、注意しましょう。
非常バッテリー
非常バッテリーの取替目安は5年です。他の設備に比べると交換頻度が多いので、交換時期を逃さないように注意しましょう。
消防設備リニューアルが必要な場合
消防設備にはそれぞれ交換の目安がありますが、年数を待たずにリニューアルが必要な場合もあります。次のような場合はリニューアルを検討しましょう。
- 消防設備点検で不具合があった場合
- 消防法が改正された場合
- 消防署などからの指導があった場合
計画的にリニューアルしましょう
万が一の時に、消防設備が正しく作動しないことはあってはなりません。消防設備点検の際に不具合が見つかることもありますが、突然故障することもあります。また、リニューアルには費用もかかるため、事前に計画をたてておくことが大事です。
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