アパートの消防設備点検の必要性は?点検項目と費用目安まで解説
アパートの消防設備点検は、入居者の安全を確保し、火災発生時の被害を最小限に抑えるために欠かせません。また、消防設備点検は法的に義務づけられている点検です。この記事では、消防設備点検の必要性から点検項目、費用目安まで解説します。
この記事を読むための時間:3分
消防設備点検の必要性
アパートなどの賃貸住宅を経営するうえで、消防設備点検は欠かせません。なぜなら、建物の消防設備点検は消防法により義務付けられているからです。賃貸住宅の持ち主である大家さんにはその義務があり、建物を火災などから守らなければなりません。
消防設備点検の項目
消防設備点検は、「総合点検」と「機器点検」の2種類があります。総合点検は1年に1回の実施です。消防設備の全部もしくは一部を作動させ、総合的な機能を確認します。機器点検は6ヵ月に1回の実施です。消防設備の外観または簡易な操作によって確認します。
消防設備点検は、有資格者にしか行えないものと、資格がなくても行えるものがあります。資格がなくても行える点検については、次に説明するポイントを参考に点検を行ってみてください。
消火器
消火器を点検する際のポイントは次のとおりです。
- 製造年から5年を超えていないか
- 本体容器に変形、損傷がないか
- 安全栓の封が破れたり、はがれたりしていないか
- 安全栓に変形、損傷はないか
- 使用済みの表示がはがれていないか
- レバーに変形、損傷はないか
- キャップはしっかりと閉まっているか
- ホース・ノズル・ノズル栓・ホーンに変形、損傷はないか
- 指示圧力計は正常値か
詳しくは説明書等で確認しましょう。不良箇所を見つけた場合は、消防設備業者等に依頼、または買い替えが必要です。
自動火災報知設備(特定小規模施設用)
建物内に設置された感知器により、火災を早期に感知し、建物内の人々に火災発生の旨を自動で知らせることを目的とした設備です。 受信機または中継器が設置されておらず、かつ自動試験機能を有するものに限り、自分で点検できます。点検のポイントは次のとおりです。
- 感知器に変形、損傷、脱落等がないか
- 未警戒部分がないか
- 設置箇所に適応する感知器が設置されているか
- 障害となるものがないか
- 感知器の作動は適正か
- すべての連動型 警報機能付 感知器が 連動しているか
こちらも不良箇所を見つけた場合は、消防設備業者等に依頼しましょう。
非常警報器具
建物内の人々に火災が発生した旨等を伝達することを目的とした設備です。点検のポイントは次のとおりです。
- 配置場所の周囲に使用上及び点検上の障害となるものがないか
- 本体に変形や損傷がないか
- 機能は正常か
実際に手にとって点検しましょう。
誘導標識
火災が発生した際に、避難口や避難すべき方向に適切に誘導することを目的とした設備です。 自分で点検可能な設備は、配線等の点検が不要のもの (蓄光式のものおよび電気エネルギーにより光を発するものを除く)に限ります。点検のポイントは次のとおりです。
- 標識に変形、損傷、脱落等がないか
- 間仕切り、広告物、装飾等による視認障害がない所定の位置に設置されているか
- 識別に十分な明るさがあるか
避難器具
避難器具には、火災の際に避難するための避難はしごや緩降機、救助袋などがあり、点検は有資格者のみが行えます。万が一火災が起きてしまった際に、適切に使えるように点検が必要です。
連結送水管
連結送水管は、火災の際に消防隊が水を出して消火活動を行うための設備です。5階以上で延べ床面積が6,000㎡以上の広さのある建物、または7階以上の高層建築物などが設置の対象となります。こちらも専門的な知識が必要なので、有資格者による点検が必要です。設置して10年経過したら「耐圧性能点検」が必要となり、その後は3年ごとに点検します。
消防設備点検にかかる費用
消防設備点検は、対象物件の規模や設備の種類によって費用が異なります。おおよその目安は次のとおりです。
小規模(10戸未満) |
8,000~15,000円 |
中規模(20~50戸) |
25,000~50,000円 |
大規模(50戸以上) |
70,000~80,000円 |
消防設備点検は自分でできるのか
アパートなどの集合住宅の場合、次の場合に該当しなければ自分で点検することができます。
- 延べ床面積が1,000㎡以上の物
- 階段が屋内に1カ所しかなく、地下または3階以上の階に特定用途があるもの
この2つに該当する建物は、消防設備士や消防設備点検資格者のような有資格者による点検が必要です。
消防設備点検を実施するときの注意
消防設備点検を実施するときには、次の2点に注意しましょう。入居者との信頼関係を保つうえでも大事な注意点です。
実施を入居者に伝える
消防設備点検を行う時には、事前に入居者に知らせましょう。自動火災報知設備は、入居者の占有スペースに設置されています。入居者に立ち会ってもらうのか、留守の際に管理会社立ち合いのもとで大家さんが行うのかを伝えておかないと、後々トラブルになりかねません。
また、点検の際には設備を実際に動かすこともあります。点検を知らない入居者が慌てることなどないよう、必ず事前に伝えましょう。
普段から防災について呼びかける
避難器具の前や避難経路などに障害物を置かないなど、普段から防災について呼びかけましょう。火災が発生した際には、すぐに避難できるように環境を整えておくことが大事です。
防災意識をもってアパート管理をおこないましょう
日頃から防災意識を持ち続けることで、災害発生時に迅速かつ適切な対応が可能となり、入居者の信頼を得ることもできます。安全で快適な暮らしを提供するために、防災意識をもってアパート管理を行いましょう。
次の記事へ
初期消火の正しい方法は?火事の状況別に徹底解説! »